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脳神経外科

脳神経外科の特色

2020年8月から脳神経外科診療を再開しました。
地域的な需要に沿いながら、脳卒中や頭部外傷などの救急疾患から未破裂脳動脈瘤や頚動脈狭窄、脳腫瘍、三叉神経痛/顔面けいれん、正常圧水頭症など幅広い分野の診療を行っています。
開頭手術や穿頭手術のみでなく、患者さんに負担の少ない血管内治療(カテーテル治療)も行っています。
患者さんの年齢や病状に応じて、最も安全と思われる治療方法を選択いたします。
下記のような症状が出現したり、あるいは検査で脳の病気がみつかった時など、当科へご相談ください。
救急診療もしておりますので、外来を受診された患者さん(予約のかたも含めて)を長時間お待たせすることもありますが、真摯な診療を心がけてまいります。

受診すべき症状
・運動障害 (片側の手足に力がはいらない、しびれる、ふらつく、転びやすい、など)
・言語障害 (呂律がまわらない、言葉が出てこない、意味不明な言葉を言うようになった、など)
・顔面のぴくつき、顔面や口腔内の発作的な痛み
・頭痛 (普段と違う頭痛がした、片頭痛が最近ひどい、など)
・もの忘れが心配、もの忘れが最近進行している

診療体制についてはこちらをご覧下さい

脳神経外科医師のご紹介

常勤医師

氏名
専門
資格等
石川 治
(いしかわ おさむ)
脳神経外科
日本脳神経外科学会専門医
日本脳神経血管内治療学会専門医・指導医 
日本脳卒中学会専門医・指導医
日本認知症学会専門医・指導医
日本頭痛学会専門医
医学博士

診療内容

※画像は本人の了解を得て掲載しております。

【脳卒中の治療】

【脳卒中の治療】
脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの患者さんへの救急対応を行っています。
患者さんの状態に応じて血管内治療(カテーテル手術)や開頭手術、内科的治療のどの治療方法が適切かどうかを検討したうえで治療しています。
早期から積極的なリハビリテーションを併用し、後遺症を少しでも減ずるように努めます。
 超急性期の脳梗塞
超急性期の脳梗塞
例) 超急性期の脳梗塞。左中大脳動脈が詰まっていましたが、カテーテルを用いた血管内治療(血栓回収術)を行い再開通しています。
くも膜下出血
くも膜下出血
例) くも膜下出血。右中大脳動脈に破裂脳動脈瘤を認め、開頭クリッピング術により動脈瘤を遮断しています。
くも膜下出血
くも膜下出血
例) くも膜下出血。左前大脳動脈に破裂脳動脈瘤を認め、血管内治療(コイル塞栓術)により動脈瘤を中から詰めています。

【脳卒中の予防的治療】(未破裂脳動脈瘤や頚動脈狭窄症、硬膜動静脈瘻などの治療)

未破裂脳動脈瘤や頚動脈狭窄症、頭蓋内血管狭窄症、脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻など将来脳卒中を発症するリスクのある病気が対象です。
患者さんの年齢や状態に応じて、保存的経過観察がよいのか、あるいは開頭手術、血管内治療がよいのかを検討し、患者さんやご家族と相談して治療方針を決定していきます。
未破裂脳動脈瘤
未破裂脳動脈瘤
例) 未破裂脳動脈瘤。左内頚動脈後交通動脈分岐部に増大傾向を伴う7mm大の動脈瘤を認めました。
開頭クリッピング術により動脈瘤を遮断しています。
未破裂脳動脈瘤
未破裂脳動脈瘤
例) 未破裂脳動脈瘤。前交通動脈に5mm大の動脈瘤を認めたため、カテーテルを用いた血管内治療(コイル塞栓術)により動脈瘤を中から詰めています。
頚動脈狭窄症
頚動脈狭窄症
例) 頚動脈狭窄症。右頚動脈がかなり細くなっており、脳の血流低下により脳梗塞を発症したため、血管内治療(ステント留置術)を行い血流の改善が得られています。
硬膜動静脈瘻
硬膜動静脈瘻
例) 硬膜動静脈瘻。複視と視力低下の精査で発見されました。有害な動静脈シャントを認めたため、血管内治療(経静脈的コイル塞栓術)を行い異常な血流を遮断しています。

【頭部外傷】

軽症から中等症の頭部外傷への対応や縫合処置、緊急時の開頭手術や慢性硬膜下血腫の手術を行っています。

慢性硬膜下血腫
慢性硬膜下血腫
例) 慢性硬膜下血腫。
もの忘れの悪化と歩行時ふらつきの検査で発見。穿頭血腫ドレナージ術を行い、脳の圧迫が解除されています。

【脳腫瘍】

髄膜腫などの良性腫瘍や、神経膠腫、転移性脳腫瘍に対する評価や手術、術後治療を行っています。
当院は放射線治療装置を保有していないため、術後に放射線照射が必要な場合は、近隣の病院と連携しております。
髄膜腫
髄膜腫
例) 髄膜腫。
①頭痛で発見された鞍結節部髄膜腫
②歩行障害で発見された円蓋部髄膜腫。
開頭手術により腫瘍が摘出されています。

【三叉神経痛】

突発的な顔面や口のなかの痛みを繰り返し生じる場合、三叉神経痛という病気である可能性があります。三叉神経という顔面の感覚神経が、脳幹から出る部分で脳の血管などにより圧迫を受けているために痛くなると言われています。
まずは症状の詳細を確認し、同時に脳画像検査を行って診断いたします。
痛みをとるための内服治療を開始しますが、治りが良くない場合や薬の副作用により内服治療の継続が難しい場合、あるいは根治的治療の希望がある場合に開頭手術(微小血管減圧術)を行います。

【片側顔面けいれん】

片側顔面けいれんは、片側の顔面筋が自分は意図していないのにピクピクとけいれんし続けてしまう病気です。
顔面神経が脳幹から出る部分で脳血管によって圧迫されるために起こることが多いと言われています。
まずは症状の詳細を確認し、同時に脳画像検査を行って診断いたします。
治療方法として内服治療やボトックス皮下注射、開頭手術(微小血管減圧術)といった選択があり、全て当院での処置が可能です。
患者さんと相談しながら治療方針を決定していきます。
左片側顔面けいれん
左片側顔面けいれん
例) 左片側顔面けいれん。
ボトックス治療を繰り返してきたが根治的治療を希望し他院より紹介受診されました。
手術により責任血管である前下小脳動脈とその外側に接する後下小脳動脈の2本の血管を偏位させて顔面神経を除圧しています。

【正常圧水頭症(特発性正常圧水頭症(iNPH)】

歩くのが遅くなったり、歩幅が小さく転ぶことが増えた、もの忘れが増えてきた、といった症状を「歳のせい」と思っていたら、検査で正常圧水頭症が発見されることがあります。
手術の必要性を判断する各種検査(髄液排除試験(タップテスト)など)を行ったうえで、髄液シャント術を行うべきかどうかを検討していきます。
手術方法は脳にチューブを挿入しない腰椎腹腔短絡術(LPシャント術)を第一選択としており、腰椎疾患や腹部の大手術既往などで困難な場合は脳室腹腔短絡術(VPシャント術)や脳室心房短絡術(VAシャント術)を検討していきます。

 LPシャント術
LPシャント術
例) LPシャント術

【脳脊髄液漏出症(減少症) 低髄液圧症候群】

些細な尻もちや交通事故、スポーツ外傷の後に慢性的な起立性頭痛や頚部痛、めまい、倦怠感など様々な症状を呈する疾患です。
身体への衝撃によって脊髄の硬膜が破れて脳脊髄液が漏れ出すことが原因といわれています。
造影頭部MRIや脊髄MRI、CTミエログラフィーを行い脳脊髄液漏出症診療指針をもとに診断し、保存的治療(安静、点滴治療)や硬膜外自家血注入療法(ブラッドパッチ)を行っています。
脳脊髄液漏出症(減少症) 低髄液圧症候群
脳脊髄液漏出症(減少症) 低髄液圧症候群

【頭痛】

近年頭痛を認める方が増えています。
問診やCT/MRIなど画像検査をもとに片頭痛や緊張型頭痛、後頭神経痛、群発頭痛などの診断を行い、薬の処方や生活指導を行っています。
ほか、緊急対応が必要なくも膜下出血や脳動脈解離、可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)、静脈洞血栓症などの診断や治療も行っています。

【もの忘れ】

もの忘れが心配な場合は脳ドック受診をご検討ください。
ただ、進行が早かったり歩行障害を伴う場合は、外来を受診してください。
血液検査やCT/MRIなどの画像検査を行い、薬の内服や手術治療が必要な疾患の有無を確認します。
認知症の診断となった場合は、薬の処方や生活指導、フォローアップを行います。
認知症の前段階の軽度認知機能障害や検査で正常であった方に対しては生活指導を行いますが、一般的には購入不可能な「日本認知症予防学会認定のサプリメント」の紹介もしております。



<早期アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」について>
2023年12月より、早期アルツハイマー病(アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)または軽度認知症)のかたへ、レカネマブ(レケンビ®️)が使用可能となりました。
現在当院では治療の導入を行うことができませんが、治療適応があるかどうか判定するための各種検査を行うことは可能です。
治療開始後半年以降は当院でもレカネマブ治療ができます。
ご希望のかたは脳ドックの「もの忘れセット」を受けていただくか、脳外科外来までご相談ください。  


【自動車運転評価】

リハビリテーション科で評価を行い、当科で診断書を作成します。
脳卒中後に車の運転を希望される場合、また運転免許更新時の認知機能検査で「認知症のおそれあり」と判定された場合などに、各種の認知機能評価(記憶力や注意力、遂行機能など)、およびドライブシミュレーター評価を行い、公安委員会へ提出する診断書を作成しております。


【脳ドック】

火曜日と木曜日の午後に脳ドックを行っております。
症状に出ない脳腫瘍や脳動脈瘤の早期発見のみならず、もの忘れが心配なかたへの認知機能テストや血液検査(ビタミンBや甲状腺ホルモン値)、脳MRIによる脳萎縮度判定、加齢性変化の評価、認知機能低下予測スコアの算出、車運転の安全性評価などを目的としています。
早期アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」治療を希望されるかたは、脳ドック「もの忘れセット」を受診してください。
「日本認知症予防学会認定のサプリメント」の紹介もしております。


手術の種類

当院でおこなっている手術や処置の種類
疾患名
手術
未破裂脳動脈瘤 くも膜下出血
開頭動脈瘤ネッククリッピング術
脳動脈瘤コイル塞栓術(血管内治療)
脳腫瘍(良性脳腫瘍、悪性脳腫瘍)
開頭腫瘍摘出術
脳梗塞 頚動脈狭窄症

頚動脈ステント留置術CAS (血管内治療)

頚動脈内膜剥離術
顔面痙攣 三叉神経痛
後頭下開頭微小血管減圧術
ボトックス治療
硬膜動静脈瘻
硬膜動静脈瘻塞栓術 (血管内治療)
正常圧水頭症​
腰椎-腹腔短絡術   (LPシャント)
脳室-腹腔短絡術 (VPシャント)
脳室-心房短絡術 (VAシャント)
脳脊髄液漏出症 低髄液圧症候群
ブラッドパッチ (硬膜外自家血注入療法)
急性期脳梗塞 主幹動脈閉塞症
血栓回収術 (血管内治療)
脳梗塞 主幹動脈狭窄症
経皮的血管形成術PTA (血管内治療)
脳梗塞 脳浮腫
減圧開頭術
脳内出血
開頭血腫除去術
脳動静脈奇形 (AVM)
脳動静脈奇形摘出術
急性硬膜下血腫
開頭血腫除去術
慢性硬膜下血腫
穿頭血腫ドレナージ術